老人の青春時代

小さなデジタル遺産

昭和40年代から50年代、青春時代を真っただ中で過ごした彼もすでに70歳代の高齢者。

彼は若い頃童話や短編小説を趣味で書いていました。

10年ほど前から私は彼のパソコン見るようになっていました。

もちろん彼の同意のうえです。

最近彼に介護施設入居の話が出るようになったので、彼が自宅から居なくなる前に彼の創作の一部を彼に代わって発表します。

からの青春時代のデジタル遺産代わりに。

雪妻

Canon EOS-1D Mark IV (200mm, f/5.6, 1/1500 sec, ISO200)

雪妻

小高い丘全体に雪は降りつもっています。杉木立の青い葉もうっすらと白くなりはじめていました。
「ほんとに。鶴よ!」
コーヒカップを差し出しながら妻は少し興奮気味に声をあげました。
私たち二人は寒さも忘れて窓際に座りしばらく雪の中の鶴をながめていました。

ミツバチの恩返し

ミツバチの恩返し

「みんながもってきたローヤルゼリーを一つにして健太君の唇に運んで」
女王バチの大きな声の指令です。
やがて出来立てのやわらかなローヤルゼリーはみんなの力で健太君の唇の上に静かにおろされました。

雲の上のあっちゃんと女の子

Canon EOS 10D (135mm, f/5.6, 1/1250 sec, ISO200)

雲の上のあっちゃんと女の子

あっちゃんは、さっきから旅客機の丸い窓に、ひたいをおしあてていました。
上空にはモコモコとしたあつい雲のかたまりがどこまでも広がっていました。

さく年保育園の運動会で買ったわた菓子がいくつもかさなっているように見えました。
あっちゃんがそんなことをおもいだしながら窓のそとをみていると、すぐ近くの雲の上に、あっちゃんとおなじ年ごろの女の子がたっていました。

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