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【夢見る童話】雲の上のあっちゃんと女の子

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X-T2 (24.3mm, f/11, 1/80 sec, ISO100)
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旅客機の窓の外

あっちゃんは南九州の小さな漁村に住む小学一年生の男の子。
今朝はいつもよりすこし早起きしました。

お父さんとお母さんと夏休みになったら東京ディズニーランドにいく約束をしていました。
とうとう、その日の朝がやってきたのです。

ヤシやソテツの葉っぱが青々としげる空港から、ジェット旅客機にのりました。
やがて、ジェット旅客機は夏の朝日にむかってとびたちました。

あっちゃんは、さっきから旅客機の丸い窓に、ひたいをおしあてていました。
上空にはモコモコとしたあつい雲のかたまりがどこまでも広がっています。

さく年保育園の運動会で買ったわた菓子がいくつもかさなっているように見えました。
あっちゃんがそんなことをおもいだしながら窓のそとをみていると、すぐ近くの雲の上に、あっちゃんとおなじ年ごろの女の子がたっていました。

さきほどからあっちゃんに、おいで、おいで、と手まねきをしているのです。
あっちゃんは目をまるくして、おどろきました。

「どうしよう」
お父さんとお母さんのほうをみました。

二人とも、窓のそとの雲の上にいる女の子には、気づいていないようでした。
「ちょっとだけ、いってみるか」
心の中でそうつぶやいた瞬間あっちゃんのからだが、すっと窓の外にでていきした。




雲に乗ったあっちゃん

「よくきたわね」
女の子はそういいました。
それからすこし不安な様子で雲の上にたってるあっちゃんに握手をもとめてきました。

よこのほうをみると、さきほどまで自分がのっていた巨大なジェット旅客機があっちゃん達が立っている雲とおなじ速度で飛行しています。

客室内ではお父さんやお母さんやそのほかの乗客達が、窓の外のこちらをむいて大騒ぎをしています。
丸い窓という窓は乗客の顔でうまっていました。

「あっちゃんはやくかえっておいで」
と口をパクパク動かしています。金魚鉢の金魚みたいです。

乗客達の後ではスチュワーデスや副操縦士のあわてふためいたすがたもみえています。

あっちゃんと女の子ののった白い雲はジェット旅客機とすこしはなれました。
雲のしたには朝日にかがやくこがねいろの海原がみえました。
小さな漁船が、しらなみをたてています。

ばいばい

「もっと下におりてみよう」
あっちゃんが女の子にいいました。
「いいわよ」

女の子はそういいながら、りょ手をぐいと下のほうにむけました。
わた菓子みたいにモコモコした白い雲は、いきおいよく下に下におりていきました。

小さな漁船には、あっちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんの二人がのりこんでいました。

「おーい!」

あっちゃんが上空の雲の上からよびかけると、二人はふしぎそうに空のほうをみあげました。
「ここだよ!」
おじいちゃんとおばあちゃんは、ぽっかりとうかんだ白い雲の上から手をふっているあっちゃんをみつけて、こしをぬかさんばかりにおどろきました。

「あそこにクジラのむれがおよいでいる」
女の子が知らせました。
「おじいちゃん!おばあちゃん!あっちにクジラがいっぱいいるよ」
あっちゃんが小さな漁船にむかって大声でさけびました。

風がすこしふいてきました。
「ありがとう。気をつけてね」

女の子のそうじゅうする白い雲は、海をはなれて森の上空にとんできました。
山のふもとに、ゴルフ場がみえてきました。今日は日曜日なので、あさはやくから、おおぜいのゴルファーがプレーをしています。

上からみていると、つぎつぎにうたれるゴルフボールは、小さなシャボン玉のようでした。
「ちょっといたずらしてみようか」
女の子はそういいながら、二人がのっている白い雲を、ゴルフ場にむけて、ぐんぐん下げはじめました。

次々と雲の中にとびこんでくるゴルフボール。
女の子はぜんぶポケットの中にいれました。
おもしろそうなので、あっちゃんもとんでくるゴルフボールをポケットの中にいれました。

「かえしてくれよ」
下ではおおさわぎ。

「あっちゃん、東京についたよ」

お母さんの声。
「もうついたの」
目をこすりながら、まどのそとをみると、女の子の顔。

「ばいばい」
あっちゃんも「ばいばい」と窓の外に向かって手をふりました。

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